インターコワフュール モンディアル

２０００年９月の末、東西のドイツが統一して１０年目のベルリンにおきまして、４年に一度行われるインターコワフュール（通称ICD)のモンディアル(日本では世界大会と訳）が開催されました。

その最終日の夕刻、恒例となりましたガラパーティでは、ディナーを挟んでのインターコワフュールの各国代表者の技術が深夜までステージ上で繰り広げられましたが、今回は更にひとつ、大きな意味のあるイベントが会場中の喝采を浴びていました。

モーリスフランク氏の世界会長としての最後のステージ

永年インターコワフュールの世界会長をつとめておりましたモーリスフランク氏の世界会長としての最後のステージ。今期を最後に世界会長の席を後進のペータークラウス氏（ドイツ）に譲ります。

モーリスフランク氏は国際文化の生徒のためにパリや東京で多くの素晴らしいステージ、セミナーを開いて、理容師・美容師のあり方、仕事の素晴らしさを語り、お教えいただいております。そんなモーリスフランク氏のステージに今回はスポットをあてて紹介／レポートしたいと思います。

モデル

スタートはモーリスフランク氏の下でのアシスタント時代から２０年という長い間一緒に仕事を続けてきた、クリストフシャリュー氏が綺麗に編み込んだ付け毛を使ったスタイルを仕上げました。

その間テンポ良く、両サイドからドミニックシローのエレガントなドレスをまとったモデルがウォーキング。その華やかさは、彼らが永年、働いてきたオートクチュールのショーを思い起こさせるような風景です。

クリストフシャリュー氏

彼が退けると会場は暗くなり、舞台の袖にあるスクリーンにモーリスフランク氏の往年の仕事、作品の写真の数々、彼の顧客で有名な*マレーネ　デートリッヒの写真、そしてモーリスフランクのお気に入りの画家マニンのへアースタイル画の数々が過ぎた時間を物語るようにモノクロで投影されました。

美しかったのは、スクリーンの両側に静かに現れたモデル達のシルエット。柔らなスタイルを強調したそのシルエットは氏が普段から語っているエレガンスそのものでした。

モーリスフランク氏

やがてライティングが明るくなると共にそのモデルたちが歩き出すのと前後して、中央からもう一人のモデルをエスコートしてモーリスフランク氏が登場しました。大きな拍手。この夜はこの瞬間の為に駆け付けたという技術者の他にも多くの氏の友人が会場におりました。

綺麗にひとつひとつ丁寧に巻いたカールにブラシをかける氏自身も非常に優雅で仕事に対する愛着をとても感じました。その間、両サイドではオートクチュールのデフィレ（ファッションショー）が繰り広げられ、本当に華麗で美しいステージでした。

オートクチュールのデフィレ

アマンダ　リア

氏がステージから静かに消えると暗くなった舞台にはスポットライトを浴びた歌手のアマンダ　リアが男性２人にエスコートされ登場しました。彼女はイタリア／フランスでは大人気の歌手でモーリスフランク氏の２０年来の顧客です。今回は友情出演としてベルリンまで駆け付けてくれたとの事。

マレーネデートリッヒが舞台で着ていた衣装さながらの４kgもある大きな毛皮のコートにティエリーミュグレーの衣装、そしてブルガリの大きなダイヤモンドのネックレスでデートリッヒの歌を彼女らしいアレンジで歌い上げました。これはプログラムにもないサプライズは、リハーサルも朝一番に人払いをしながら行った、とても苦心をして実現した舞台でした。

歌い終わった彼女は自分の人生の中で出会った素晴らしい美容師：モーリスフランク、そして過去マレーネデートリッヒが口癖のように舞台へ立つ前にモーリスフランク氏にかけていた言葉を真似、モーリスフランク氏を舞台へ呼び戻します。それは非常にドラマチックで感動的な場面でした。

アマンダ リアとモーリスフランク氏

舞台へ現れたモーリスフランク氏は大切な人々みんなにお礼の言葉を述べ、彼のパートナーのクリストフから彼の永年の仕事に敬意を表したコラージュを受け取り本当に嬉しそうでした。と同時に沢山の人のお疲れ様が聞こえた気がしました。

コラージュ

今回、ベルリンで感じた事はモーリスフランク氏の美容師としての姿（存在感）は本校の生徒だけでなく多くの人にとって非常に影響力のあるものだと痛感しました。まだ、お日様の心地よい秋のベルリンでした。

国際文化学園 企画室(PARIS France) 小川　真理