「使い終わった白熱電球をひとつ持って来て下さい。新しいLED電球を３つ差し上げます。」


これはパリでもかなりインパクトのあるポスターです。

私も家に残っていた（分別したまま置き去りにされていた）電球を持って急いでこの「期限付き企画」を利用すべく、区役所へ出かけました。こんな普及プロモーションならもっと大々的に行えば話題になるだろうに、どうして街中ではこのポスターを見かけないのだろう？と不思議に思ったところ、これはパリで生活保護、生活援助を受ける人を対象にしたものでした。想定世帯は32,000世帯、計100,000個の電球をパリ市で用意しているそうです。


担当者たちは「多くの低所得者の皆さんは、エネルギーに対する知識／意識を持つ余裕がなく、つい目の前の安い見慣れた電球を購入してしまいます。この電球は、各戸のエネルギーの年間消費率が減らすだけでなく、電球の耐久時間も長いので、結果的に経済的であり、社会的にも年間に5GWhのエネルギーの節約ができ、500トンのCO2を削減することになるのですよ。」と来る人々に丁寧に説明をしていました。

普段は誰もが急ぎ足で行き来しているパリで、このように時間と手間をかけて人に説明してくれる、そんな企画にホッとしましたが、保護や援助を受ける人々ほど忙しいはずですから、この期間中に家にある白熱電球を探し出して区役所までLED電球を交換しに行く、そんな時間があるかしら？と少しだけ疑問が残ります。

限られた人だけではなく、すべての人が参加出来る企画だったら良いのにな、とも思います。エネルギーやゴミに対して市民の意識レベルがどーも低く感じるパリでは、なおさらの事。全体参加型のイベントが望まれますね。


これが交換用LEDランプ。遠くから見ると何なのかわかりません。

国際文化学園　企画室(PARIS France)