十字路（辻）やT字路、三叉路には、魔物や辻神（つじがみ）という妖怪が棲みつき、人に悪さをはたらくのだという。

　だから、先人は辻に道祖神（どうそじん）などを祀（まつ）ったりして、災いを除（よ）けてきたのだそうだ。

　それが転じて、道祖神などは単に辻というよりも、村と村との境界線などに祀るようになり、外部から侵入してくる病原菌などの災い除けになったのだと云われる。

　そこで疑問。

　そもそも、なぜ辻に妖怪は棲みつくのだろう。

　それは、たぶん道の曲がり角（＝分岐点）で人はどちらに曲がったらいいか迷うし、行き先に悩むからで、そうして生じた心の隙に乗じて魔物は心に入り込むからに違いない。だから魔物は辻に棲んで人を待ち伏せているのだ。

　おそらく、魔物や妖怪の正体というのは、心の迷いそのものだったりするに違いない。

　先日、本学（国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校）で新2年生（138期）を対象に行われた『就職説明会』は、138期生にとってはまだ2年次1学期の始業日を迎える前のイベントで、学生によって差はあるだろうが、大袈裟にいえば就職先を決める人生の岐路とも呼べるもの。

　岐路は辻そのものだから、迷いが生じて心に隙が生まれやすく、よって魔物につけこまれやすいところ。

　138期生の真剣な眼差しをパチリするにつけ、彼、彼女らに余計な迷いが生じることのないよう、邪気退散を祈るワタクシであります。

　迷わず行けよ、行けば分かるさ…、なんちゃって。