- 25.04.30
平安庶民の憂い
[爛漫]とは、花が咲き乱れるさま。
桜のころ。本学(国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校)衣紋道 東京道場(荘司礼子会長/学園理事長)が3月25日(火)に催したセルリアン能楽堂公演『春らんまん』は、まさに[十二単]の花が咲き乱れるさまをご披露。

まずは七領(りょう=装束を数える単位)の十二単を、髪形が[垂髪](すいはつ)で[裳](も)の上に[唐衣](からぎぬ)を被せる[平安]のお服上げ(着付け)でお見せすると舞台を[敷設](ふせつ)し直し、次に髪形を[おすべらかし]に[唐衣]の下端を上から[裳]で留める[現代流]お服上げの[十二単]七領をご披露。
平安と現代、併せて十四領の十二単が[能舞台]を行き交うさまは圧巻で、普段は魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する舞台も、この時ばかりは[桜の小花]を鬢(びん)まわりに飾ったお方さまが静々とお足運びなされ雅な時間が流れた。
ただこの催し、よくよく考えてみれば十四領の十二単が居並ぶさま自体も滅多にないことだが、それが一斉に[お服上げ]されるというのは更に珍しいことで、基本[お服上げ]というのは[裏の仕事]、人さまにお見せするものではないハズ。それを敢えてご披露するというのだから、ずいぶんとお恥ずかしいハナシなのだが、このことを意識してしまったアナタ、ある種の[背徳感]も加わってますます[お服上げ]鑑賞の虜になってしまうかもしれません…なんちゃって。
蓋し、この装束が貴族の[生活の中]にあった平安の頃に思いを馳せれば、われわれ庶民にとって[十二単]は[高嶺の花]も花、[富士山の花]であったハズ。雪なら[富士の雪]も[京都先斗町の雪]も「溶けて流れりゃ」同じだと昔の唄にもあるが、[花]は[高嶺]だと手も届かないし目にすることも叶うまい。ましてや高貴なお方の[お服上げ]など垣間見ようものなら...。
ともあれ、十四領もの[十二単]姿とその[お服上げ]をも目にすることのできる[現代人]を、一千年も前の庶民はどう思うのだろうと、同じ庶民どうし[平安庶民の憂い]に想いを馳せるワタクシであります。
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